『蝉しぐれ』を読んだら次はこれかな。
剣客ものの要素が強いんで男の子向けかも、といいつつ主人公『青江又八郎』は男から見てもメチャカッコいいので女性が読んでもハマると思う、陰のある色男でどこかコミカルなとこもあるという魅力的な男です。
映像化したら真田広之、阿倍寛とかが似合う感じですね。
このシリーズは全部で4作ありますが、その中の第一作。
藩の陰謀に巻き込まれ余儀なく脱藩し江戸に逃れた浪人、青江又八郎が準主役の相棒、細谷源太夫と共に用心棒として様々な場面で活躍していく。
全体に大きなストーリーがありつつ1話ごとにも完結する『短編連作』方式(『美味んぼ』みたいな感じ、笑)、個人的に読みやすいので好きな形式。
現代でいうと地方で問題起こして地元いられなくなった若者が東京に逃げてきてガテン系のバイトして暮らすという内容(笑)
メインストーリーだけで相当練られてるんだけど、さらに凄いところはそこに『忠臣蔵』で知られる赤穂浪士の討ち入りまでの動きが平行して進んでいくという。
同じ不遇の者として直接は触れずとも共感していく感じの距離感が見事。
また赤穂浪士イチの剣客とされる堀部安兵衛と主人公青江の立ち合い場面は忠臣蔵ファン的にも見物。
コミカルな部分も多くテンポが良くて読みやすい作品、『上質の娯楽小説』という表現がしっくりきます。
また名作の条件に『主人公以上に脇役が魅力的』ってのがあるんですがこの作品にもそれが当てはまりますね。
相棒の細谷、口入屋(今でいう職安)のオヤジである吉蔵等、魅力的なサブキャラがストーリーを盛り上げます。
しかし『剣客』っつーのはカッコいい、素直に男の子のツボを付いてきます、読み終えると思わずものさしを振り回したくなる感じ(笑)
あと今も昔もフリーターとして自立して生きていくには手に職が必要というのが分かります(爆)。